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65歳以上の医療費が全体の50%以上を占めています

1970年代から右肩上がりで増加し続けてきた国民医療費ですが、医療費の抑制を目的に導入された2006年の医療制度改革によってここ数年は頭打ち状態にあります。それでも国民医療費は2007年で約34兆1000億円、国民一人あたりでは26万円強となっています。

国民医療費の約1/4が国の一般財源でまかなわれています。OECD(経済協力開発機構)がまとめた「GDPに占める医療費の割合」で見てみると、アメリカで15%、フランスとドイツが11%、日本が8%で世界22位となっており、それほど突出しているわけではありませんが、国の財政を圧迫しているのは間違いありません。特に今後は団塊世代の高齢が進むことから、増加するのは間違いないでしょう。

国の財政を圧迫

医療費の急激な増加の理由にはさまざまなものが考えられますが、まず人口の増加と高齢化が進んだことが挙げられます。病気やケガの発生率が一定だとすれば、人口が増えればその文だけ医療サービスを受ける人が増え、医療費の増加に繋がります。また、高齢者は若者の5倍の医療費がかかるといわれており、高齢化が進んだことも大きな理由です。

さらに、日本の医療費の支払いが出来高払い方式(診療行為ごとの費用を合計して医療費を計算する方法)であるため、その弊害による過剰な検査や投薬なども増加原因の一つです。その他、医学の進歩により、放射線治療機器やCT、MRIなどの高額な機器や開発費の高い新薬など、医療の高度化も一因です。

例えば、慢性骨髄性白血病の治療薬であるイマチニブ(商品名:グリベッグ)はたった1錠で2749円という非常に高い価格設定となっていますが、病状の急性転化を防ぐためには1日4錠(=10,996円)飲む必要があります。また、乳がんの治療薬であるトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)、大腸がんのオキサリプラチン、ベバシズマブなど高額な抗がん剤も多くの患者に使われるようになりました。

診療の種類別に国民医療費の内訳をみると、通院38.2%、入院が36.9%、、薬局の調剤が15.0%、歯科7.3%、入院時の食費などが2.4%となっています。このうち、歯科の医療費は1980年代は11%だったものの、少子化の影響もあり減少の一途をたどっています。年齢別では、65歳以上が53.6%と半分以上を占め、以下75歳以上の後期高齢者が30.9%、45~64歳が25.8%、15~44歳が14.1…と続きます。

病気の分類による内訳では、65歳未満では、循環器系(心臓病)が12.0%、呼吸器系11.0%、がんが11.5%、腎尿路生殖器系の疾患9.1%が上位を占めています。一方、65歳以上では、循環器系28.7%、がん12.4%、筋骨格系および結合組織8.2%、内分泌、栄養および代謝疾患7.0%となっており、高額な心臓病の治療に医療費の3割近くが割かれています。

一般健診、がん検診、メタボリックシンドローム対策など健康増進の歴史

日本の保健事業は、母子・学校・産業・地域保健に分類され、それぞれの生活ステージにおいて、病気を早期に発見して治療を行う「二次予防」の手段として医師や看護師による健診が保健事業として実施されてきました。基本的な健診項目としては、血圧測定、心電図、血液生化学検査(中性脂肪、HDL・LDLコレステロール)、肝機能検査(AST・ALT、γ-GTP)、血糖検査(空腹時血糖値またはHbA1c)、尿検査などです。

1983年に老人保健法が施行され、一般健診とがん検診が行われ疾病の可能性がある人に集中して対策を立てる戦略が採られるようになりました。1998年にはがん検診が一般財源化して市町村事業として実施されるようになりました。糖尿病、高血圧、心血管疾患など増加傾向にあった生活習慣病を、個人の生活習慣の改善とともに取り組む社会環境の必要性を受けて2000年に「健康日本21」が、2002年には健康増進法が施行され、受動喫煙の防止を含めて、集団全体の健康度を向上させる戦略への移行が進められたのです。

健康日本21の中間見直し作業を受けて、生活習慣病の更なる対策が要されたことから、高齢者医療確保法により「特定健診・保健指導」(いわゆるメタボ健診)が導入され、40歳以上75歳未満の被保険者、被扶養者に健康診断が実施されることになりました。


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