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メリットよりもデメリットが目立ち始めてきた医薬分業の行方

90年代に積極的に勧められた医薬分業ですが、処方箋料の違い、調剤料や薬学管理料、各種加算などにより、院内と院外で患者の自己負担が1000円単位で違うことも少なくなく、最近ではメリットよりもデメリットが取りざたされるようになって来ました。

病院や診療所では薬剤をもらえず、わざわざ院外の薬局に行かなければなりません。処方された薬がなければ、再度その薬局に受け取りに行く必要もあります。また、患者が十分な説明や服薬指導を受けられるというメリットについても疑問符がつきます。医師が多忙で指導が行き届きにくいということですが、これは院内に薬剤師がいれば可能であるため、医薬分業ならではのメリットではありません。

患者が1箇所のかかりつけ薬局に、複数の医療機関の処方箋を持ち込めば、薬歴情報が一元化できて併用薬や副作用の履歴などをチェックできるという分業ならではのメリットについても、現状では患者は各医療機関の門前薬局に処方箋を持ち込むことが多いため、この機能が果たされているかどうかも疑問です。

厚生労働省は、医薬品医療機器総合機構と連携して、医薬品の品質、有効性および安全性に関する情報を収集し、内容を整理し、適正使用に資する情報についてホームページ等を通じて提供を行い、また、製造販売業者等からの添付文書改訂等に伴う相談、そのほか安全対策計画に関する相談に応じる等により、医薬品の安全対策に努めています。

厚生労働省は従来の「問題が起きてから対応する」のではなく、「問題が発生する前に対応する」予測・予防型の安全対策業務にシフトしています。その柱は、安全性情報の数量的・科学的分析評価の実施、予防対策を視野に入れた取り組み、適正使用情報の積極的な提供にあるといわれています。

製造販売業者等から総合機構に報告された副作用などの情報は、データベースとして集積されます。この貴重なデータベースを用いて、副作用個別症例から因果関係のありそうな医薬品と副作用の組み合わせを検出する科学的分析方法(データマイニング)を取り入れつつあります。


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