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保険者、医師、学識経験者によって構成される中医協で政策を誘導

私たちがケガや病気で医療機関にかかったときに受ける医療サービスと材料の料金が診療報酬です。診療報酬を定めた点数表では、手術、検査、投薬など約2500種類の診療行為の料金を保険点数(1点=10円)として細かく定めるとともに、その料金が適用となる条件が示されています。

診療報酬は全国統一となっており、患者がどの医療機関を受診しても同じように適用されるため、医療機関が勝手に変更することは許されません。また、医療機関の施設基準など、書く診療行為を請求する際の条件も規定されており、例えばリハビリの場合、そのための設備、人員、期間などが定められており、施設の充実度の高い医療機関ほど、高い点数を算定し、請求することができます。

なかには、定められた人員を満たしていないのに、架空職員の雇用などによって誤魔化しを行い、多くの報酬を請求する悪質な医療機関もあります。そのため実施基準が実際に守られているかどうかをチェックするため、行政と社会保険事務局などによる指導・監査も行われています。

診療報酬の点数表は医科、歯科、調剤の3つに分かれており、膨大かつ複雑ですが、仕組み自体は簡単で、基本となる大原則は「基本診療料+特掲診療料」です。

基本診療料とは、初診料、再診料、入院料など、基本的な診療行為や簡単な検査、入院サービスなどの費用です。電気や水道など公共料金の基本ろ湯筋と同じで、診療を受けると必ず発生します。

一方の特掲診療料とは、検査、処置、投薬、往診など、基本診療料に含まれない診療行為に掛かる料金のことで、その都度加算されていきます。つまり、基本診療料は1日1回の算定ですが、こちらは行った分だけ算定することができるわけです。

社会情勢や経済情勢の変化、また医学の技術の進歩に対応させるため、診療報酬はおおよそ2年に1度見直しが行われます。診療報酬の改定には2つのステップがあります。

まず、最初のステップでは、国の医療費予算を算定するため「引き下げ(上げ)率○×パーセント」というように診療報酬の全体での増減額を決定します。次に、全体の金額を個々の診療行為の点数である「本体」や「薬価」に振り分けます。

約2500の診療行為についての点数を見直して、原則的に全て変更されて第1ステップで決めた大枠に収まるように調整します。このような作業が、回転前年の年末から改定年の2月まで行われ、4月の新年度から新しい診療報酬による請求がスタートします。

診療報酬の改定を担当する中央社会保険医療協議会(中医協)は、①保険者、経営者、労働者の代表、②医師、歯科医師、薬剤師などの代表、③学識経験者の20人で構成されます。これらの医院によって、個々の診療報酬点数が議論され決められていきます。

診療報酬の点数を変えることで医療政策を一定の方向に導くことができます。つまり、診療報酬点数は単なる価格表ではなく、政策誘導を果たす重要な働きがあるのです。

改定する際の根拠と成るのは、医療機関が医薬品を実際に購入した価格を把握するために行われる「薬価調査」、医療機関の経営状態を調べた「医療経済実態調査」、診療報酬点数表のそれぞれの診療行為が何回実施されたかを調べた「社会医療診療行為別調査」などがあります。


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